かつて、八事遊園地のお土産だった伝統玩具。
1912年(大正元年)、名古屋市の天道山高照寺の南側に開園した「八事遊園地」は、競馬場やボート場、猿小屋、ブランコなどの施設や遊具が備えられた賑やかな行楽地で、近隣には「船見山遊園」もあり、多くの人々が訪れ、「八事蝶々」と呼ばれる郷土玩具もお土産として販売されていました。
「八事の蝶々」は、青竹を竹ひごに加工し蝶の羽の枠を作り、赤・黄・緑などの鮮やかな和紙を貼って作られる郷土玩具で、持って歩くたびに美しい蝶の羽がヒラヒラと舞う伝統のある玩具。
明治のはじめから昭和のはじめ頃にかけて、八事地域では寺社の門前や八事遊園地(大正元年に尾張電気軌道、後の名古屋市電によって開設)を中心に製造・販売され、当時の人々から親しまれました。
戦後には一時姿を消してしまった「八事の蝶々」。
現在では、一度は途絶えかけたこの玩具を後世に伝えようと保存会の皆さんが中心となり、地域の祭りやイベントで絵付け体験を実施したり、学校などでの指導を通じて継承活動に力を注ぎ、今も地域の文化として大切に守られています。
